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2026-03-10 11:11:00

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映画やドラマ、小説を時間を置いて見返すと、以前とは違う思いや気づきが生まれることがあります。

当時は気に留めなかった場面や理解できなかった感情に光が当たり、新たな視点が得られるからです。


たとえば、一見すると他者との深い関係を切望しているように見えて、実は相手を受け入れることを恐れている登場人物。
関係が深まるほど「これ以上踏み込むと厄介なことになる」と、怖さや煩わしさ、落胆を感じてしまう。
親密さを求めながらも、距離が縮まると落ち着かなさや窮屈さを感じ、「一緒にいたい」と「逃げ出したい」が同時に起こってしまうのです。

やがて彼女は、人間関係の中で起きる自分の内側の反応に気づいていきます。

  • 相手に気に入られようと「いい人」を装って無理をしてしまうこと
  • 争いを避けるために望まない役割を引き受け、断れないこと
  • 拒絶や批判を恐れて自分の希望を伝えられず、自分の望みすら分からなくなること
さらに、相手の欠点に不満を抱いていたのは、実は相手を見くびることで自分の自尊心を保っていたからだと気づくこともあります。
相手を「力がない存在」にすることで自分の価値を感じようとしたり、独占欲や支配欲といった「できれば知りたくなかった内なる影」と向き合うことになります。


誰かを求めながらも、本当は一度関わりを閉ざし、安全なシェルターや繭のような空間で休みたい。
そんな正反対の感情を持つことは決して悪いことではありません。
それは、自分と他者との「境界線(結界)」を意識するための大切な練習です。


身体を柔らかい膜で包むイメージを持ち、守られた安全な空間でエネルギーを蓄える時間。

シェルターの外にはいつも通りの日常があり、鳥の声や風の音、体温や鼓動を感じながら、一人でありながらも世界と繋がっている心地よさを味わっていく。

そうして「安心できる距離感」を行き来しながら体感していくことで、誰かの期待に応えようと無理をする必要がないことに気づきます。


自分を避けることなく共にいられるようになると、何を受け入れ、何を受け入れないかを自分で選べるようになります。
自分自身と出会う物語は、やがて新たな他者との心地よい出会いへと続いていくのです。

更新日 2026.8.19

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2025-04-22 16:00:00

トラウマインフォームドケア〜傷つきと共にある関わりと、安心感を育む視点〜

 

トラウマ(心的外傷)は、私たちの身近に存在しています。

自然災害や事故、事件・暴力、大切な人との離別など、強い心理的負担を伴う出来事を直接・間接的に体験することで生じる心のケガです。

さらに、子ども時代の複雑な家庭環境や虐待、いじめなども含めると、多くの人が何らかのトラウマ体験を抱えて生きている可能性があります。

トラウマの影響は目に見えにくく、本人さえも気づかないまま、感情や行動、身体の反応として長く残り続けることがあります。


「何があったのだろう?」という眼差し

いま注目されているトラウマインフォームドケア(TIC)は、「多くの人がトラウマ体験を持っているかもしれない」という前提に立ち、再トラウマ化(更なる傷つき)を防ぐ支援のあり方です。

人が強い危機に直面すると、本能的に「闘う(Fight)」「逃げる(Flight)」「固まる(Freeze)」という防衛反応が起こります。

トラウマを想起させる出来事(リマインダー)に触れた際、周囲からは理解しがたい行動をとってしまうのも、身を守るためのトリガー(引き金)が引かれているからかもしれません。

問題行動に対して「なぜそんなことをするのか?」と責めるのではなく、「いま、この人に何が起こっているのだろう?」という理解と対等な視点を持つことが、安心感を取り戻す第一歩となります。


支援者自身の「いま」にも意識を向ける

誰かを支える中で、支援者自身も無力感や怒り、混乱を抱えることがあります。

相手の感情に巻き込まれたり、自分の過去の傷が反応して離れたくなったりするのは、ごく自然なことです。

そんな時は、一度相手と、そして自分自身と「間(距離)」を取ってみることが大切です。

  • 感情への気づき:「いま、私は焦っているな」「怒りを感じているな」と客観的に認識する

  • 身体感覚へのアプローチ:足の裏の感覚、呼吸の深さ、肩の力みに意識を向けて息を整える

自分をケアし、一人で抱え込まずに周囲へサポートを求めることも、持続可能な支援には欠かせません。


おわりに

トラウマインフォームドケアの実践は、決して容易なことばかりではありません。

しかし、当事者も支援者も共に安全な環境を感じ、自分のコントロール感を取り戻していく過程は、一人ひとりが持つ本来のしなやかな力を引き出す社会へと繋がっていきます。 

更新日 2026.8.19

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2024-01-28 20:02:00

こころの多様性

現代社会では、多様性を理解し、尊重し合うことが求められています。

とはいえ、自分とは違う考えや価値観を持つ人を受け入れるのは、決して簡単なことではありません。
他者と出会うということは、互いの「違い」と出会うことでもあるからです。

 

誰かの言動に気持ちがかき乱されたり、強い苦手意識を感じたりすることは、日常の中でごく自然に起こります。
しかし実は、その「受け入れがたい他者」こそが、まだ知らない自分自身と出会う貴重なきっかけになることがあります。

 

心理学では「投影」と呼ばれる現象があります。
自分の中にある認めたくない感情や衝動を無意識に相手へ重ね合わせ、「あの人が嫌な部分を持っている」と感じることで自分の心を守ろうとする働きです。
ユング心理学でいう「影(シャドウ)」もこれにあたります。自分の中で蓋をしてきた否定的な側面が相手に映し出されるからこそ、私たちは強い不快感や苦しみを覚えるのです。

 

誰かを排除したい、許せないと感じるとき。
その嫌悪感の対象は、もしかするとずっと自分自身の奥深くに閉じ込められてきた「もうひとりの私」かもしれません。

 
「あなたにはあって、私にはない」

「私にはあって、あなたにはない」

 

もし誰かに違和感や苦手意識を抱いたなら、まずはその感覚を否定せず大切にしてみてください。
「なぜこんなに嫌なんだろう?」「私の中で何が反応しているのだろう?」と、否定ではなく好奇心を向けてみること。
現れた嫌な感情のそばに、少しだけ留まってみること。

 

それは、自分自身の内なる影に光をあてる静かな作業です。
表と裏はコインのふたつの側面であるように、自分の中にある相反する要素もまた、あなたという存在を構成する大切な一部です。

 

自分の内にある多様性に気づき、それらを否定せずに受け止め、内なる自分と「理解・尊重・協働」できるようになること。
自分自身に開かれた心を持つことができたとき、私たちは初めて他者とも真の意味で出会い、心を通わせることができるのではないでしょうか。

更新日 2026.8.19

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2023-09-28 16:59:00

わたしとあなたの距離~自分らしくいられる境界線の育て方~

 

わたしはあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけではない。

あなたもわたしの期待に応えるために、この世に生きているわけではない。

わたしはわたし。あなたはあなた。

もしも偶然、わたしたちが巡り会えるのなら、それは素晴らしいこと。

もし出会えなくても、それは仕方のないこと。

           
フレデリック・パールズ「ゲシュタルトの祈り」


心理学の世界で知られるこの詩を初めて読んだとき、どこか冷ややかで寂しい印象を受ける方もいるかもしれません。

しかし、改めて向き合ってみると、ここには決断力や潔さ、そして自分らしく生きるためのしなやかな強さが込められていることに気づかされます。

日常の人間関係の中で、「自分と相手の境界線(バウンダリー)」を意識したことはありますか?


気づかないうちに境界線を越えていませんか?

人と人との心地よい距離感は一人ひとり異なり、相手との関係性によっても変わります。
しかし、次のような思いに心当たりがある場合、相手との距離が近くなりすぎているかもしれません。

  • 相手の予定や意見を優先して、無理に自分を合わせてしまう
  • 相手のすべてを把握していないと不安になる
  • 相手の意思を確かめずに先回りして動いてしまう
  • 相手が抱える問題や責任を、自分のことのように引き受けてしまう
  • 自分の本当の気持ちを伝えられず、相手をコントロールしようとしてしまう

相手の事情を汲み取る「思いやり」や「配慮」は素晴らしいことですが、それが過剰になると、自分の気持ちを置き去りにして境界線が曖昧になってしまいます。


自分と出会うことが、心地よい関係の第一歩

他者との関係を築くうえで大切なのは、無理に自分を変えようとすることではありません。相手との違いを感じたとき、「いま、自分の心に何が起きているのだろう?」と興味を持って自分自身と向き合ってみることです。

「わたし」という軸が育つことで、初めて相手との距離を自ら選択できるようになります。

カウンセリングで「安心できる距離感」を体験してみませんか?
他者との心地よい距離感や境界線の引き方は、日々の体験を通じて少しずつ掴んでいくものです。


誰かの期待に応えようと無理をする必要はありません。

👉KIZASHIのセラピーでは、そのままの自分で安心して過ごせる空間の中で、ご自身の感覚や本当に大切にしたい想いを丁寧に取り戻していくお手伝いをしています。

  • 人との距離感に疲れてしまった
  • つい相手に合わせすぎて自分の気持ちがわからなくなる
  • 自分らしい人間関係を築いていきたい
そう感じている方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。


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2022-08-15 22:13:00

怒り 祈り

 

排除されがちな感情の代表格に「怒り」があります。
怒りを向ける側も、向けられる側も、突然湧き上がるその強大なエネルギーには圧倒されてしまうかもしれません。
それほどまでに怒りは力強い感情です。
けれど、怒りを抱くこと自体は決して悪いことではありません。
問題になるのは、自分自身が「怒りそのもの」と化してしまい、相手や自分を傷つけてしまうときです。

 

怒りが現れる本当の意味を、私たちの身体は知っています。

 

例えばゲシュタルト療法では、怒りを頭で分析したり語ったりするのではなく、あえて「怒りそのもの」になって表現してみるワークを行います。
忌み嫌うのではなく好奇心を持って接したとき、一体何が現れるのかを確かめる実験です。

 

あるいはフォーカシングのように、少し足を止めて怒りと共に静かに佇んでみます。
思考による評価や判断が浮かんできてもそれは横に置き、「いま、身体の内にどんな感覚があるか」へ意識を戻していきます。

 

怒りを表現することに、怖さ、格好悪さ、恥ずかしさを感じるかもしれません。
しかし、その抵抗感さえも大切なあなたの「気づき」です。

 

現れる感情を消そうとせず、マインドフルな眼差しで幾層もの心の内奥に触れていく。
その静かなプロセスは、自分自身の生命の声に耳を澄ます「祈り」のような時間でもあります。

怒りは一体、あなたに何を伝えようとしているのでしょうか。


更新日2026.8.20

 怒り 祈り

 

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