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記憶
最近、
子どものころに読んでいた本の題名が、ふと浮かんだ。
1つ浮かぶと数冊、何となく題名を思い出し、無性に読みたくなった。
こんな時、現代は便利。
キーワードを入れて検索してみる。
すると・・・・・
あったあった!!
これこれ!!!!
早速、図書館で検索してみる。
読みたかった本は全てあって、予約もできた。
実際に本を、手に取ってみると、
長い歳月によって、痛みがかなり進んでいるものもあった。
変色し、ボロボロになったページを慎重にめくる。
数十年の時を経て、今ここで再会できたことに、
ひときわ嬉しさが増してくる。
初版発行年月日を見ると、不思議なことに大体、同じ頃だった。
その頃は、よく本を読んでいたことを思い出した。
本の内容は様々だけれど、いずれも、
学校や家庭を舞台に、ちょっとした事件をもとに、
登場人物である、友人、家族、先生、大人達との
人間関係を通して、主人公が変化し成長していくものだった。
大人にとっては、日常の些細な出来事。どこにでもありそうな。
でも、子どもにとっては、それが大事件であり、謎でもあり・・・
子どもの視点、子どもの世界にいながらも、
家庭と社会
私と他者
繰り広げられる当たり前の日常の中で、子どもながらに感じる迷いや葛藤。
そこを経て、成長していく姿に勇気をもらっていたのかもしれない。
本の中の子ども達は、当時の私に何を語りかけていたのだろう?
年季の入った古い本から、今、感じるもの。
あの頃の私。
子どもの私に帰ってみる。
あの頃、見ていたこと感じていたこと。
記憶を辿ってみる。
そこには、大人になってからは、感じることが鈍くなってしまった、
不思議なものに触れたくなる、好奇心や冒険心があった。
時間がたつのを忘れ、日が暮れるまで夢中になって遊んでいた、あの頃。
家に帰りたくなかった日、
そして、
お迎えが待ち遠しかった日。
全ては、もう思い出すことができないけれど、
大人になって随分経つ、今の私が、
読みかえす本から感じた、あの頃の私。
それは、愛おしさのようなもの。
思わず、声をかけたくなった。
大丈夫だよ。
あなたは、そのままでいいよ。
心配いらないからね。
子どもの私が、しっかり私を見て、頷いた気がした。