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開かれた場
似たような悩みや苦しみを持つ人達が集まる自助グループや、
依存症からの回復を目指すプログラムに、ミーティングと呼ばれるものがある。
それは、テーマに沿って、一人ひとりが仲間に語っていくというものだ。
他者の発言に批判はしないこと、言いっ放し聞きっぱなし、がルール。
数年前、私はスタッフの一員として参加していた。
当初は、ただ語るだけで何か変わるとも思えないし、意味のあるものなのか?と怪訝に思っていた所もあった。
毎回毎回、淡々と繰り返される話に、退屈や、もどかしさや、緊張や、動揺や、
その時々に現れる自分の色々な思いや、感情と共にいながら、皆の話にただじっと耳を傾け続けていた。
そんなことを続けていると、次第に、抑揚のない淡々としたあの場に、力のような何かを感じとるようになった。
それは、一体感とも呼べるような気持ちの良さだった。
今になって思うとあれは、
まさしく解釈や判断や評価を脇に置いた場であった。
語る者も聞く者も、互いに気負いのない場。
何を言っても大丈夫な場。
反論されることもないし、同意を求められることもない。
安全や安心感そのものとも言えるような場。
それに皆が包まれているような雰囲気を感じ取るようになったのだ。
そこには、わざとらしい肯定や、やんわりとした否定もなく、
存在そのものを尊重されることで生命が流れ出し、1つどこかに向かうような感覚だった。
日常で繰り返される関係では味わえない、不思議な体験だったといえる。
少しペースを落として、言葉と言葉の間や沈黙に呼吸を合わせてじっと佇む。
その静けさと共にいると時が止まったようにも感じられる。
そこから生まれる深い癒しのようでもあった。
何者かになるのを止め
あるがままに・・
する、から、在る、
へ、シフトしていく過程で起こること。
そんな力を信頼したセラピーを続けています。