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悪い虫
日本では、乳幼児の夜泣きや、かんしゃくは、
体の中にいる「疳の虫」が、悪さをするからだ、という言い伝えがありました。
実際に、現在でも虫封じのおまじないや、祈祷をする、お寺や神社もあるようです。
あくまでも、困りごとの原因は「虫がいる」事であり、虫によって夜泣きや癇癪などの問題がおこっているという考えです。
だから、それを退治すれば問題は解決するということですね。
まさしく、これ、問題の外在化と言えるのではないでしょうか?
外在化とは、問題を当事者から切り離し、対象化して問題解決のためにアプローチする方法です。
簡単に言えば、その人自身と問題を切り離すということです。
何かが原因で、その行為が起こったということなので、
本人を否定することのない、優しい方法ともいえますよね。
また、何が問題なのか?が焦点化されるので、解決方法も見つけやすくなります。
私達、多くの人は、何かと自分をつなげて考えてしまうことがよくあります。
「○○で○○なダメな私」などです。
内面的な問題と、その問題が内在化されている状態です。
問題を問題としてとらえる事こそが問題で、本当は、人が問題ではなく、
問題となるものが問題だと気づくことができると、とても楽になれます。
また、焦点化されることで、具体的な解決方法がわかったりもします。
更に、問題と思われていたことは実は、問題ではなかった・・
という事に気づくこともあるかもしれません。
発達障碍を持つ子どもさんや、育てにくいと感じる、お子さんに対しても同じ事が言えると思います。
疳の虫のお話に戻ると、
成長していく過程で必要な虫であると知ることで、疳の虫を退治、することばかりでなく、
その虫と上手く付き合っていく術を身に着けることもできます。
子どものせいでもなく、親の育て方のせいでもない。
親自身が安心し、落ち着いて子育てに望むことが、子どもにも伝わり、
結果、安定していくという相乗効果を生み出すのです。
誰のせいにもしない、虫退治・・
実は深くて優しいセラピーともいえると感じます。